2幕1場
貞吉は自問自答している。
死すことは本当に人の道であるのか。
想像の中で、叔父頼母との問答を繰り返す。
「生きよ」という頼母。「潔く死ぬのが武士(もののふ)の道だ」と心で叫ぶ貞吉。
けたたましい鐘の音で我に返り、戦場へと急ぐ貞吉。
2幕2場
場所は変わって、西郷頼母邸。
頼母の妻、千恵子は白装束に着替えている。
敵は攻め入り、女子供は城(鶴ヶ城)にろう城するということになったが、我々は足手まといになると命を絶つことを決断している。千恵子には4人の子供があるが、上の娘には自害を命ず。そして‥‥‥
(以下台本のセリフ オペラでは合唱によって歌われる。千重子はパントマイムによる演技)
『千重子はまず、八歳になる田鶴子(たづこ)を懐剣で刺した。
それを見て驚いた幼い常磐(ときわ)が叫ぶ。
叔母は涙をこらえ「そなたも武士の子」と諭し、これを刺した。
そしてまだ二歳の季子(すえこ)を‥‥‥
何も判らずただにっこりと微笑む季子を抱いたが、懐剣を持つ手が震え、動かなかった。』
そこで千重子の辞世の句
「なよ竹の風にまかする身ながらも たゆまぬふしはありとこそ聞け」
を読み、季子を刺す。そして自らも死ぬ。
オペラ最大の山場であり、見せ場。
2幕3場
戦闘に敗れた白虎隊は飯盛山へ逃れてくる。そこで焼ける会津城下を見、絶望する。
会津の敗北を確信した白虎の一人一人は、辞世の句を読みながら、自刃していく。貞吉も刀を喉に刺す。
鎮魂の合唱が流れる。
2幕4場
生き残り、狂った貞吉が登場。
自刃の場で命令によって雨風に晒された白虎の同志の屍を見て、激昂する。
そして自分一人が生き残ってしまったことへの激しい後悔を口にする。
ここに千重子と頼母の霊が登場。死してはいけないと諭す。会津は破れても故郷の山河はここにあると気付いた貞吉は、白虎の魂を内に秘めて生きることが貴い誇りであると気付く。
貞雄、貞吉による子守唄、日新館の少年の掟の歌が背後に聞こえ、幕。
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