1幕1場
昭和の初め、白虎隊のただ一人の生き残りである飯沼貞雄(貞吉)は、飯盛山で剣舞を見つめている。この剣舞は自刃の様子を舞い、奉納として行われている。日新館の教えである「什の掟」を唱える声が聞こえ、白虎の辞世の句も聞こえる。飯沼貞雄は剣舞を直視できず、生き残った自分への自問自答に苦しんで生きてきたことがわかる。
1幕2場
時代は遡り、まさに会津に薩長が攻め入る時。西軍の行軍歌が聞こえる。
後の貞雄になる飯沼貞吉は、叔父である老中西郷頼母邸へやってくる。
頼母の妻、叔母である西郷千恵子に白虎出陣のため別れの挨拶にきたのである。
叔母は貞吉に死を恐れず立派に戦うこと、負傷して生き恥をさらすくらいなら自刃せよと、日新館の教えでもある会津魂を改めて貞吉に諭す。オペラでは、千恵子は実は肉親の死を決して望んではいない。多くの親がそうであったように。しかし会津の世は、時代は、それを許さなかった。
ただ一人、叔父の西郷頼母は死が正義かとその世に問いかける人物でもあったが、貞吉はそんな叔父を恥じ、否定していた。
1幕3場
その叔父との問答の場面。死が正義か、死してまで守るものとはなんぞやと叔父は貞吉に問いかけるが貞吉は耳を傾けない。そんな場面を貞雄は回想している。そしてついに西軍は攻め入ってくる。ここで1幕が終わる。
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